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研究紹介

 

(1) 私たちの研究グループでは,電子スピン共鳴(ESR)や核磁気共鳴(NMR)を主たる実験手法として分子性物質の研究を行っています.物質の示す性質の起源に迫る物性物理分野の基礎研究を行うとともに,新しい分子性物質の機能性を物質分子科学の観点から探索しています.磁気共鳴は,物質中の電子スピンや核スピンを探針(プローブ)として物質の電子状態や構造情報を得る分光計測手法です.私たちは独自に改良した固体幅広核磁気共鳴装置や,分子研が世界に誇るパルス・強磁場を用いた最先端の電子スピン共鳴装置を利用し,研究を行っています.

 

(2) プラスティックは絶縁体の代表格ですが,電気化学酸化等を行うことで電気を流すようになります.分子性物質が電気を流すことが知られてから半世紀以上経ち,超伝導体も発見されていますが,まだ未解決な問題が多く残っています.このような物質群は分子性導体や有機導体と呼ばれ,現在も国内外の研究者によって盛んに研究が行われています.これらの分子性導体のもっとも顕著な特性として,多様な基底状態(極低温における電子状態)を取ることがあげられます.異なるサイズのイオンにより単位格子の大きさを変えたり,あるいは物理圧力をわずかに加えるだけで,金属,絶縁体,強誘電,反強磁性,超伝導といった種々の物性を示します.これら分子性導体の電子状態を調べることは,物性物理が直面している諸問題の根元的理解につながります.私たちは分子性導体の示すこのような特異な電子状態に関心を持ち,研究を行っています。

 

(3) 具体的には,私たちは超高圧力下でも核磁気共鳴が観測できる装置を用いたり,実効的に圧力を加えることが出来る混晶体に対する研究を行うことで,上述の多彩な電子状態を示す分子性導体の電子相起源解明研究を行ってきました.また構造計測ならびに最先端のパルス電子スピン共鳴法を駆使して,基底状態相転移近傍のスピンの動的挙動を調べ,従来考えられていたのとは異なるスピン一重項状態をとることを明らかにしています.一方,全く新しいタイプの分子性導体に関し,強磁場の電子スピン共鳴法を用いることでミクロなレベルでスピン状態や電子状態を調べ,新しいタイプの分子性導体が構築されていることを証明しています。さらに最近は,光誘起で電気伝導性を示す物質の電荷分離過程を,時間分解した電子スピン共鳴測定により,時々刻々と変化するスピン分布の時間過程を波動関数レベルでの明らかにしています.このように磁気共鳴法を駆使することにより,我々は分子性導体における多種多様な物性起源の理解を目指すとともに,最近は先端電子スピン共鳴装置による生体関連試料の構造計測も行っています.

 

(4) 比較的簡単な分子は私たちの研究グループでも作成が出来ますが,最近開発された最先端の物質は私たちのところでは作ることは出来ません.それはモノ作りの得意な研究者と共同研究することによって提供してもらっています.昨今の物質科学研究は,多様な実験手法の研究のスペシャリストによる分業が不可欠です.私たちは特に固体常磁性物質の磁気共鳴のスペシャリストであり,物質開発研究者を支援しています.磁気共鳴は,非破壊で測定できる,サンプルに与えるダメージを少なくできる,結晶化しなくてもよいなどの多くの利点があります.私たちは分子研の所蔵する高性能な装置を使いこなし,ESR、NMRともに高度で高精度な解析を実現しています.原子価状態や電子状態は,物性機能や触媒活性を理解する上で重要な鍵です.私たち実験研究者は,物質開発研究者や理論研究者と密な連携を取って,研究を進めています.

 

(5) 私たちの研究グループの専門は,量子力学,熱統計学,電磁気学の知識が直接的な形で関わっています.これらの取り組みにくい専門教科を,実例や実験を踏まえながら理解出来ます.また,学生の皆さんの興味や関心は多岐にわたっていることでしょう.私たちの研究グループでは,分光学,データ解析,試料製作まで広い分野にわたっています.学生の皆さんの広い興味や能力・特性を受け入れたテーマ設定が出来ると考えています.私たちの研究グループでは,一人一人目を配り基礎的なところから指導し研究指導を行っています.また,学生の皆さんの主体性をできるだけ尊重しつつも,適切なアドバイスをしていきます.親しみやすい話しやすい教員であることを心がけています.分子研,総研大には春にオープンキャンパス,夏には体験入学,冬には冬の学校と各種参加型のイベントがあります.どうぞ,興味ある方は門戸を開いてみてください.

 

 

自然科学研究機構 分子科学研究所 物質分子科学研究領域 電子物性研究部門

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